こんにちは。現役の高校体育教師のAPETです。
新学習指導要領において、突如現れた「学びの地図」を知っていますか?
聞いたことはあるけど、、、スルーでした。という方もいると思います。
実はこの地図、学校教育界のゴールデンルーキーなんです。
と、言いましても、、、となるので、ひとまず「学びの地図」を一言で説明します。
それは「指導要領を噛み砕き、みんなが理解できる形にした学習プラン」です。
ポイントは、子どもや保護者などの学校外の人でも理解できること。
つまり見たら「誰もが分かる」ので、学校教育の目的や方法が一目瞭然となるのです。
最後には、実際に作成した地図をお見せします。
ざっくりと説明したところで、この記事の対象と読むメリットを提示します。
対 象 小・中・高の先生や、これから先生を目指す方々
メリット 地図のイメージを掴み、活用できたら以下のモヤモヤが晴れます。
・授業で、何を、どう教えればいいのか?という迷い
・子どもたちをゴールに導けていないかも?という不安
では、本題に入っていきます。今回「学びの地図」をつくってみた理由は3つです。
(1)指導要領改訂の目玉である
(2)地図があると、授業で迷子にならない
(3)今の所見たことがない
(1)指導要領改訂の目玉である
どこから出てきた?
答えは「 学習指導要領(H30告示) 総則編 第一章 第一節 1 改訂の経緯 」からです。
ここは長いので、読み飛ばしてもらって結構です。
何が言いたいかというと、いっちばん最初に出てきているということです。
ちなみに、総則編を木で例えると「幹」です。各教科(保健体育とか国語とか)や特別活動が「葉」になります。
根幹である総則編の初っ端に出てくる。ということはやはり目玉なんです。
初っ端の理由
前後の文脈はこうです。
変化の激しい時代の教育は学校だけで完成しない。
社会全体で子どもたちの学びを支え、力をつけよう。
社会とつながるには、学校での学習を知ってもらう必要がある。
そのために、誰もが分かる「学びの地図」を架け橋にしよう。
要は、「社会に開かれた教育課程」実現のために必要だからです。
ここで「?」が浮かんだ方は、前回のブログを参考にしてください。
これからの教育は、社会全体で後押しする。
必須アイテムなので、最初に出てきているのです。
教育業界での扱い
指導要領のまとめのポイントという、まとめた上にポイントまで整理してくれる資料があります。
その選抜資料の中でも、太字かつ下線というVIP待遇。
ちなみに、ここ数年流行っているアクティブ・ラーニングは下線のみです。
やはり球界に突如として現れた、ゴールデンルーキー並の扱いですね。
今後のポジション(筆者の予想)
おそらく、各学校で独自で作成。HP掲載や保護者や地域への配布、周知活動がマストになるでしょう。
アクティブ・ラーニングも実践事例が多く取り上げられていますし。
今後、創意工夫を凝らした地図が出てくるのではないでしょうか。
教科研修レベルでも、指導案の作成に加え、教科の「学びの地図」作成という課題を出されるような気もします。
今から準備しておけると良いですね。
(2)地図があると、授業で迷子にならない
授業の理想と現実
先生が授業前に想像するゴールは、大体こんな感じだと思います。
”子どもがキラキラした汗をかき、達成感に包まれ、先生に熱い眼差しを送る”みたいな感じです。
ただ実際、授業が終わるとそうではない現実も・・・まあ多いですよね。
達成感は、スタートから障害をくぐり抜け、ゴールに立てたときに感じるものです。
そのゴールまで伴走するのが先生の役割ですよね。
では、教師がイメージする障害やゴールと、生徒が描く障害やゴールは同じと言い切れますか?
おそらく、「先生側」はできていると言います。なぜなら、自分がプランニングをして伝えているから。
ただ、そのイメージ受け取る「子ども側」はどうでしょう。
先生が相当な時間をかけたプランを、冒頭2分で理解し、授業を通して意識し続けられますか。
難しいですよね。
そこで武器になるのが、「学びの地図」なのです。
ゴールを共有できる
共通の地図を使えば、先生と子どもが同じ地図を見て、双方が思い描くゴールを目指せます。
(学校目標レベルでなく、教科レベルでの「学びの地図」の話であることが前提です)
例えば、初めてディズニーランドに遊びに行ったとしましょう。おそらくほとんどの人が、全体マップ片手に目的地を目指すと思います。
すると、自分の現在地やシンデレラ城に行くためのルート、目印、距離などが一発で分かります。
構造的には「学びの地図」もディズニーランドのマップと同様です。
お客さん = 子ども(学習者)
シンデレラ城 = ゴール(学習後の姿)
ルート = 何をどのように学ぶか
目印 = 評価のポイント
距離 = 時間の見通し
このように、学習者が「何を」「どのように」学び、結果「何が身に付き」「何ができる」ようになるか。
これらを絶対座標に据えて学習していくのです。
要は、学習の全体像が見える化された1枚の見取り図を、全員が覗き込める状態にするのです。
これらを共有しながら進めば、お互い迷子にならずにゴールへ向かっていけます。
(3)今の所見たことがない
Google画像検索してみた
「学びの地図」らしき資料は3つしか見当たりませんでした。
高校の新学習指導要領が改訂され2年経ちますが、未だ私自身地図を見たことがありません。
小学校では2018年から全面実施です。実際、運用されているのでしょうか。
教育課程の研修に参加しても、フレーズは聞くが、モノはありません(笑)
これでは、現場で作れと言われても、イメージが湧かないですよね。
【地図画像あり】体育4年間の「学びの地図」
前置きが長くなりましたが、ひとまずつくってみました。
体育4年間の「学びの地図」です。
作成条件
作成時に、意識した条件をあげます。
① 紙1枚(A4版) ⇒ 単純化
② 一目で分かる ⇒ キャッチーな言葉と図解
③ 生徒向けである ⇒ 総則5本柱のうち3本を網羅
※総則の5本柱=何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学び・何が身に付くか、どのように支援するか、何が必要か です。
位置づけ
実際、指導要領で取り上げている「学びの地図」は、学校全体のレベルです。
なぜなら、教育資源の活用や、サポート内容も含む必要があるからです。
しかし、各学校で掲げる目標はバラバラですし、抽象度が高くなります。総則5つの柱の網羅も手強いです。
ですので、1段階具体性を高めて、教科レベルの地図をつくってみました。
しかし本質的な地図の構造は、学校全体レベルだろうが、教科レベルだろうが、年間計画だろうが変わりません。
「スタート→ルート→障害→ゴール」の見える化・共有化ができればよいのです。
具体と抽象ピラミッドから分かること
位置づけ_学びの地図このピラミッドを見ると、分かることがあります。
指導者なら誰しもが1時間の授業で地図を描いている、ということです。
この時間のねらいはこうで、これを教えて、ここがつまずきそうだからサポートを入れよう、みたいな感じです。
ただ、持ってはいるけど、生徒に見せていないだけなのです。
ですので、まずは1単元(約12時間程度)の「学びの地図」からであれば、つくりやすいかもしれません。
ぜひ、皆さんで学びが凝縮された地図づくりを頑張っていきましょう。
まとめ
学びの地図とは?
① 学習指導要領を噛み砕いて、誰もが分かる状態にした図
② 総則の5本柱をもとに、抽象度を変える
③ 見える化、共有化されることで効果を発揮する
次回は、「学びの地図」と「学習指導要領解説」の対応箇所について書いていきます。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
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