こんにちは。令和4年度までに新学習指導要領を読み込む先生が少なそうで、内心ドキドキしている高校体育教師のAPETです。
さて、今回はカリキュラム・マネジメントについて解説をしていきます。
「教育課程とカリキュラムって同じものでしょ?」とか「いろんな科目を並べた表がカリキュラムでしょ?」と勘違いされている方を見受けるので、記事にしたいと思います。
また本記事は前半で、カリキュラム・マネジメントのざっくり解説。後半では、カリキュラムを組むときに大切なポイントなどの実践編にしたいと思います。
・カリキュラム・マネジメントとは何かが分かる
・なぜカリキュラム・マネジメントが必要なのかが分かる
・ドヤ顔で、カリキュラム・マネジメントという言葉を使えるようになる
そもそも、カリキュラム・マネジメントって何なの?
カリキュラム・マネジメントだと文字数が多いので、この先は「カリマネ」と略します。
新指導要領が言っていることを簡単にすると以下のとおりです。
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子どもに必要な力を育てるためには、教育課程を社会と共有して協力することが不可欠だね。とはいえ、人も時間も道具も限られているから、選択と集中で教育資源の配分を考え直そうよ。
でも、テキトーに配分するんじゃだめ。まずは学校教育目標と照らし合わせて、言葉や地図みたいな形で、この配分表を明確に表現して。
これが「カリキュラム」ね。
そうそう。配分のポイントは、各教科とか総合、行事で身につく力を単独のものとして終わらせないこと。だって個別の知識はすぐ忘れちゃうし、身についた力は応用して役に立ってこそ価値が膨らむじゃない。
さらに、他分野とのリンクがあるとアハ体験になって、深堀りしたくなるから、もっと深い学びになるよ。だから、他教科や総合で活用・発揮ができるようにして。
しかも、意図を持つことと優先順位をつけること、この2点を忘れずに。
そうすれば、各分野同士のつながりが見える化できて、実現可能性が高まるよ。
PS.カリキュラムは作りっぱなしじゃなく、実行した後に評価と改善を繰り返して。
(ちな、この繰り返しをPDCAって言うことも覚えておいて)
そうすれば、螺旋状にアップデートされ、子どもに豊かな学びを提供できるから。
それで、この資源の配分戦略とPDCAを回すことが「マネジメント」と言われる部分ね。
〜〜〜
指導要領の内容を書き下していくと、大まかではありますがこのような感じです。個人的な感覚としては、ここだけを把握しておけば、教育課程編成のグループに入り議論参加ができるレベルかと思います。
カリキュラム・マネジメントが必要な理由
少々粗いですが、カリキュラムは教育課程を具現化した配分表だと理解しました。次に考えるのは、なぜカリキュラムをマネジメントする必要があるのか、です。
結論から言うと、学年や教科間、単元配列レベルで、身につけた資質・能力をリンクさせ、より深い学びを生み出すためです。
リンクの観点で言うと、授業改善と、カリキュラムマネジメントは分けて考えなければなりません。当然ですが、このリンクを教科の単元配列や1時間の授業で作り出すことは、先生が1人でできる範囲です。
例えば、国語の文章作成という単元があったとしましょう。(実際にあるかわかりませんが例えですのでご容赦ください。)
1〜3時間目で文章構造の型という知識・技能を学び、4〜5時間目で実際に作文する思考・判断・表現力を発揮するという構成にします。
1時間目に「序論→本論→結論」2時間目に「起承転結」3時間目に「結論→理由→例→結論」の3つの型を知識・技能として学びます。4〜5時間目で、これらを取捨選択しながら作文すると、思考・判断・表現力が絡んできて、インプットとアウトプットを結びつけることになります。
つまり、5時間の単元内で、意図的に知識・技能をつなぎ合わせる思考・判断・表現力を要する深い学びがデザインされているのです。
このレイヤーでのデザインは、ほとんどの先生方が意識的に行っていますし、教科を受け持つ先生が1人で実施できます。一方、学年や教科間というレイヤーでの活用と発揮は、教師一人では生み出すことができません。
他者を巻き込むので当然ですが、学びのリンク場面を作り出す難易度はグーンと上がります。(教科・学年外不可侵条約みたいな不文律があったりしますから。どうでしょう、ありませんか?)
とはいえ、教科を越えた学びのリンクは相当なパワーを持っています。
そこで、文章構造の型の例を引き続き使います。この文章構造の型というものは、他教科でも応用できる可能性は高いですから。
歴史の授業で、「徳川家光が行った政策は何か?」という問いがあったとします。この問いに対して、国語で学んだ文章構成の型という知識・技能を活用、発揮させてみましょう。
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徳川家光が行った政策には、参勤交代の義務化があります。
理由は、大名が領国内で金銭的に豊かになり軍事力を高めると、将軍家への謀反につながる可能性があるからです。
例を挙げると、大名に江戸と領国間を年に1回大名行列で行き来させ、お金を使わせます。また、妻子を人質として江戸に住まわせます。
このように、参勤交代を義務付けることで、大名を疲弊させ、江戸幕府への反乱防止につながっていました。
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文章の構造が「結論→理由→例→結論」となっていて、骨格があります。そのため、論理の流れはスムーズだと思います。(歴史専門ではないので、内容に甘さはあると思いますが、そこは目をつぶってください。)
このように、国語で学んだパーツと歴史で学んだパーツを組み合わせることで、より深い学びになるのです。これまでの例から、カリマネの恩恵とその重要性を納得できたのではないでしょうか。
まとめ
①カリキュラム・マネジメントとは
社会と共有する教育資源を意図的に配分し、教科を越えた資質・能力のつなぎ合わせを明確にすること
②カリキュラム・マネジメントの必要性
知識・技能が独立した存在でなく、他分野での転用が起きることで、より深く豊かな学びとなるため
ここまで理解しておけば、カリキュラム・マネジメントというフレーズをドヤ顔で使っても恥ずかしくないレベルで説明できるのではないでしょうか。
後半の記事は、カリキュラム・マネジメントの実践編ということで、教育課程をカリキュラムに落とし込む方法やその際のポイントなどを解説します。
最後までお読みくださりありがとうございました。もしお時間が許すようでしたら、批評のコメントをくださるとこれからの励みになります。よろしくお願いします。
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