本書は草薙龍瞬さんの、ベストセラー著作です。著者は中学中退で東大卒。その後シンクタンクで働き、現在は僧侶さんという一風変わった経歴を持ちます。
一言で表すと「イライラやモヤモヤを、すっと消せる悩みの攻略本」です。日頃ストレスを感じている方は、本記事をぜひお読みください。
結論
まず、結論は「悩みはある。あるからなくせる」です。
アウトライン
1 悩み=欲とのギャップ
2 反応の見える化
3 思い込みという幻
4 自分の現実モノサシ
5 まとめ
1 悩み=欲とのギャップ
スピリチュアルでなくロジカル
本書は仏教思想を元に書かれているため、一見するとスピリチュアル感が出てしまいます。しかし、実際は「悩みの認定→分解→引き算」という数学的なロジカル思考で解決していきます。
悩みの認定
悩みの原因は、人が生きるための「欲」にあります。この欲が、現実とのギャップを埋めようと、心に働きかけ反応を引き起こします。人が生きる限り欲から逃れることはできません。つまり、常に「悩みはある」と考えるのです。
知覚過敏の心
欲が大きいほどギャップも増え、反応の感度は高まります。例えば、上司がムカつく(いなくなれ)、自分は仕事に向いてない(仕事をやめたい)のように、求めるものと比例して振り幅も大きくなります。結果として、心が敏感に反応してしまいます。
一言まとめ
まず、悩みはあると認める
2 反応の見える化
欲の特定
悩みを認定したら、その原因を特定し分解していきます。物質に恵まれた平和な現代での欲求は高度化します。故に、欲求階層の上位に来る「承認欲」が悩みの主要因です。
ラベリング
心の内側にある反応は見えないため、言葉にして形を与えます。これをラベリングといいます。アウトプット方法は声でも文字でもよく、言葉にすることが重要です。すると「あの人のあの言葉にイラッとした」のように、自分の外に形として現れます。
反応の3カテゴリー
反応の見える化をすると、貪(とん)・瞋(じん)・痴(ち)の3つに分類されます。仏教では、これらを三毒といいます。
翻訳すると、求めすぎ、怒りすぎ、妄想しすぎの3つの「すぎ」となります。
一言まとめ
反応を言葉にしよう
3 思い込みという幻
ないのに、ある
反応を3つの「すぎ」にカテゴライズすると「ないことが、ある」に気づきます。例えば「あの人は私の悪口を言っているに違いない」と考えたとします。しかし、現実に悪口を言っているか分かりません。つまり、これが考えすぎなのです。悪口を言っている”だろう”という、妄想が生む心の反応に苦しんでいるのです。以下に、思い込みとなりやすい3つの幻を挙げます。
判断
人はすぐ「判断」してしまい、その反応に悩みます。例えば「あいつは間違い、自分が正しい」と善悪を決めることなどです。そもそも、人の考え方は違うため、善悪の判断も人それぞれです。しかし、自分の正しさを承認したいという「求めすぎ」が、不要な反応を生んでしまうのです。
他人
他者との関わりの中で「なんで、そういうことするの?」と思うことがあります。実はこれも、相手の行動に心が反応している状態です。端的に言えば、相手の行動をコントロールできるという思い込みです。本来、自分の感情と、相手の行動は区別ができます。
判断でも挙げたとおり、人の考えはそれぞれという視点に立てば、相手の行動は”相手の反応”です。自分にとっては関係ない妄想です。つまり、相手の反応は相手のものと区別することで、反応を抑えることができるのです。
仮想敵
仕事や勉強、恋愛において、他者と自分を比較したり、勝敗をつけた経験は誰にでもあると思います。テストの点数競走が分かりやすい例です。では、なぜ人は比較や競走を始めるのでしょうか。それは、先に勝利があると”想像”するからです。
しかし、勝利に終わりはなく、求めればきりがありません。完全勝利は絵空事です。つまるところ、バーチャルな敵を作り出す比較や競走は、満たされない承認欲を生み続ける無駄な反応なのです。
一言まとめ
反応は、大抵妄想
4 自分の現実モノサシ
思い込みは”外”への反応
3つの思い込みの共通点は「自分の外」です。ということは、外に対する反応をなくせば、悩みは引き算できるのです。ここでの外とは、カネやモノ、地位、学歴などの”誰もが見える”モノサシなのです。このモノサシに自分をあて、自分の価値を測ることが現実とのギャップを生みます。つまり、外のモノサシが思い込みを助長し、無駄な反応を増加させるのです。
内側に自分モノサシを
外に価値を求める原因は、自分の内側にモノサシがないからです。では内側のモノサシとは何か、本書的に言うと「自分の納得という方向性」です。例えば、人付き合いのゴール設定です。おそらく、理解し合いたい、双方幸せでありたいが究極的なゴールでしょう。
ここで自分と相手のモノサシを区別することが重要です。なぜなら、相手も同じゴールを思い描いているとは限らないからです。つまり、ここでの自分モノサシとは「理解することが幸せ」という、自己完結できる納得基準なのです。
現実に立ち返る
自分モノサシに立ち返る方法は、身体感覚を感じることです。具体的に言うと、運動や瞑想をして、体の一点に意識を集中する状態を指します。この感覚は唯一無二の実感であり、自分の内側を感じている証なのです。論理としては、この体の感覚は現実である。よって、他に生じている観念は思い込みだ。となります。
2つの方法
抽象的な話しでしたので、今すぐできる簡単な方法を2つ挙げます。
①手の運動 目を閉じ、手をグーパーしたり、上下に動かします。握る感覚や動きを感じ、生の感覚を確認します。
②ウォーキング 足の裏に意識を集中させ、地面に接地させます。手と同様、足裏に当たる地面を実感します。
すると「今まで考えていた他の考えは、すべて幻でした」と気付けるのです。
雑念が生じることもあり、いつもうまくいくとは限りません。しかし、モヤモヤ時に「自分モノサシに帰る方法」がある、と知っておくことは、生活上での救いになると思います。
一言まとめ
自分モノサシに一点集中しよう
5 まとめ
最後に要点をまとめます。
悩みとは、欲と現実のギャップを埋めようとする心の反応である。
反応を言葉にし、身体感覚に集中すると、自分モノサシに立ち返れる。
結果として、妄想への反応が抑えられ、悩みではなくなる。
悩み解消のお役に立てたら幸いです。ありがとうございました。
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